改正旅館業法による「1室からのホテル・旅館営業」解禁と業態転換のコンプライアンス
2026年6月15日、改正旅館業法が施行され、これまでホテル営業で最低10室・旅館営業で最低5室と定められていた客室数の最低基準が撤廃されました。これにより、小規模物件であっても「1室から」旅館・ホテル営業の許可取得が可能となりました。
住宅宿泊事業法(民泊新法)における「年間180日制限」や自治体による「ゼロ日規制」の動きが加速するなか、365日通年営業が可能な「1室旅館業」への切り替えが注目を集めています。今回は、事業者が押さえるべき実務のポイントとコンプライアンス上の注意点を解説します。
■ 実務のポイント:365日通年営業への道と要件緩和
今回の改正により、アパート・マンションの1室や小規模な戸建て物件であっても、旅館業法に基づく営業許可を取得できる道が開けました。主な緩和内容は以下の通りです。
- 客室数の最低基準撤廃(1室から許可取得が可能)
- 床面積要件の緩和(1室あたり7㎡以上、ベッド設置時は9㎡以上)
- フロント(玄関帳場)要件の柔軟化(ICT機器を活用した本人確認等による条件付き未設置の容認)
民泊新法の「年間180日上限」から脱却し、年間を通じた高稼働な収益モデルへ転換できる点が最大のメリットです。
■ コンプライアンスの徹底:「用途地域」と「自治体上乗せ条例」の適合確認
「1室から許可が取れる」からといって、すべての民泊物件がそのまま旅館業へ移行できるわけではありません。住宅宿泊事業と旅館業法では適用される法規制が異なり、以下のコンプライアンス確認が不可欠です。
- 用途地域の確認(建築基準法・都市計画法)
民泊は住居専用地域でも届出が可能でしたが、旅館業法に基づく施設は「第一種・第二種低層住居専用地域」などでは原則営業できません。 - 自治体独自の上乗せ条例の遵守
国の基準が緩和された一方で、自治体によっては「営業者の常駐義務」「近隣住民への事前説明会の開催」「独自の対面対応基準」などを条例で定めている場合があります。
「民泊の届出を出していた物件だから大丈夫」と自己判断せず、事前に管轄保健所や都市計画部局への事前相談を行い、消防適合証明の取得と合わせて適切な許可申請を行うことが重要です。